五郎丸歩の活躍を難しくしたRCトゥーロンの複雑なチーム事情 (5ページ目)

  • 小川由紀子●文・写真 text & photo by Ogawa Yukiko

 おのずとフォードHCは、自分のラグビー哲学を共有するアングロ・サクソン系、つまりはミッチェルやオコナー、マット・ギタウらを多用するようになった。短期間に結果を出さねばならない、いわば喉元にナイフを突きつけられた状況で、まだよく能力を見極めていない異国からの挑戦者にチャンスを与える余裕は彼にはなかったのだ。

 そんな中、ハーフペニーがシックスネーションズで不在だった3月19日21節のグルノーブル戦で、3ヵ月ぶりに五郎丸に先発出場の機会が訪れた。フォードHCは試合前の会見で、期待を口にした。

「練習の質は上がってきている。彼にとって必要な次のステップは、与えられたチャンスを両手広げてしっかりつかむこと。ここでいいプレーをすれば、また次の週にもメンバーに選ばれるチャンスにつながる」

 久々の実戦となったこの試合で、五郎丸はフィジカルコンディションや試合のリズム感への適応といった点でほとんどブランクを感じさせることなく、序盤からスムーズにゲームに入り、アグレッシブに展開に絡んだ。

 パスを受けると果敢に突破を試み、倒されながらボールを死守した。五郎丸の突進からファウルを誘ってPKのチャンスをゲットした場面もあり、際立ったファインプレーこそなかったが、70分に交代するまでミスなくそつなく自分のプレーをまっとうした。

 しかし試合は、前半のリードを守り切れずに終了間際に追いつかれて、23-23のドローで終了となった。

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る