五郎丸歩の活躍を難しくしたRCトゥーロンの複雑なチーム事情 (2ページ目)

  • 小川由紀子●文・写真 text & photo by Ogawa Yukiko

 第13節からはウェールズ代表から戻ったリー・ハーフペニーがフルバックを務めることになったが、彼が代表選手に与えられるリーグ規定の休暇により欠場となった12月23日、第14節のモンペリエ戦、ふたたび五郎丸にチャンスが訪れた。

 しかしこの試合が、デビュー戦から着実に積み上げてきたものを一瞬で崩すことになってしまう。

 先発で出場した五郎丸は、キックミスから失点の原因を招いたほか、別の場面でも判断ミスが目立ち、本人も「失点につながる大きなミスをしてしまった」と悔いる出来で、58分に交代を告げられた。試合も33-29で敗戦。この試合でのパフォーマンスは、まだ未知の存在だった「五郎丸歩」という選手にマイナスの印象を与えてしまった。

 マイク・フォードHCは「モンペリエ戦の出来を払拭するプレーを練習で見せて、私からの評価を挽回してほしい」と激励はしていたが、ちょうどその頃、シーズン序盤はケガがちだった元オーストラリア代表のドリュー・ミッチェルやジェームズ・オコナーらが戦列に復帰してきたことで、ハーフペニーに次ぐ2番手だった五郎丸のヒエラルキーは徐々に下がっていった。

 1月28日、第17節の対ラ・ロシェル戦では、ハーフペニーが不在、ミッチェルとオコナーが負傷欠場という状況で、フォードHCは五郎丸ではなく、通常はフライハーフ(スタンドオフ)のピエール・ベルナールを15番で起用した。

 その理由をフォードHCは「10番にはマット・ギトーを起用したかったし、同時にベルナールのキック力も捨てがたかったので、彼を15番で使うことにした」と説明したが、フランスユース代表のベルナールは前所属クラブのボルドーではフルバックでプレーした経験があるとはいえ、正ポジションではない。これには現地記者たちも揃って異論を唱えた。

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