五郎丸歩のRCトゥーロン移籍は失敗だったのか? 現地での本当の評価 (2ページ目)

  • 小川由紀子●文・写真 text & photo by Ogawa Yukiko

 RCトゥーロンは国内優勝4回、2013年から3年連続で欧州の頂点に立ったフランス、そして欧州のトップクラブだ。過去にはジョニー・ウィルキンソンやカール・ハイマンといった『世界最高プレーヤー』の称号を得た選手が所属し、現メンバーでも自国フランスやオーストラリア、南アフリカの代表選手でさえベンチ要員になるなど、ポジション争いは熾烈を極める。

 そんな最高峰リーグであるTOP14への挑戦について五郎丸はこう語っていた。

「(TOP14は)日本人選手にとって、いままでは憧れ、というか、目標にもできなかったリーグだった。誰かがプレーすることでそれが目標に変わればいいと思う」

 そして実際、五郎丸はTOP14の舞台でプレーした。そのこと自体が、日本のラグビー界にとってはまず大きな一歩だ。

 残念だったのは五郎丸の世界最高峰リーグへの挑戦が、よりにもよってトゥーロンの混沌期にあたってしまったということ。

 昨シーズンを最後に、黄金期を築いたベルナルド・ラポルトHC(現フランス・ラグビー協会会長)が去り、一時代をけん引したスター選手たちから次世代への交代期にあるトゥーロンの今季が「移行の時期」となることは明らかだったのだが、それは会長や選手たちの予想をはるかに超えるカオス状態となった。

 ここで五郎丸のトゥーロンでの挑戦を振り返ってみたい。

 五郎丸が入団した当時、ヘッドコーチを務めていたのは昨季までアシスタントだった元イタリア代表フライハーフ(スタンド・オフ)のディエゴ・ドミンゲスだった。

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