スーパーラグビー開幕。サンウルブズがW杯の日本代表強化に直結する (4ページ目)

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

 サンウルブズのメンバーには2016年度のサントリー2冠に貢献し、トップリーグのMVPにも輝いたWTB(ウィング)中靏(なかづる)隆彰、リオデジャネイロ五輪の7人制日本代表で奮闘したWTB後藤輝也、昨年のU-20の世界大会で活躍した東海大のWTBアタアタ・モエラキオラなどもおり、スーパーラグビーの出来次第では、すぐに桜のジャージーに袖を通すことになるだろう。

 ただ、いいことばかりではない。サンウルブズはホームという扱いで、3試合シンガポールで試合を行なわなければならず、アウェーは南アフリカのチームだけでなく、NZ、アルゼンチンでの試合もあり、1シーズンでの移動距離は18チーム中トップの2万kmにも及ぶという。また優勝したハリケーンズや田中の古巣であるハイランダーズなどNZの5チームとの対戦もある。昨年、NZ勢は特に好調で、4チームがプレーオフに出場しており、厳しい戦いが予想されている。

 また、今年は昨年よりもメンバーを増やしたことで、特に、日本代表の主力は交替で休みをもらいながら、サンウルブズの試合に出場することになるだろう。スーパーラグビーを経験することは育成という観点から見ると大きな意味を持つが、メンバーをあまり固定して戦うことができず、プロチームとして、どこまで結果を残すことができるか不安もある。ティアティアHCは選手を鍛えながら、勝利を目指すという難しい舵取りを任されており、その手腕の見せどころとも言えよう。昨年は1勝だったこともあり、最低でも2勝が、まずは現実的な目標だ。

 いずれにせよ、2019年のワールドカップに向けて大きな柱ができた。サンウルブズ経由で、日本代表の新たなスターが生まれてくる可能性も大いにある。世界最高峰リーグに挑戦するサンウルブズの成長と進化が、2019年の成功のカギを握っている。その過程を今年からラグビーファンと同時に幅広いスポーツファンにも味わってほしい。

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