サントリー2冠達成。立役者となった165cmの新主将、その名は「流大」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 昨シーズンまでのサントリーは、「ボールをキープすること」に主眼が置かれていた。しかし、年々ディフェンスが進化するなかで、ボールを保持し続けることが難しくなってきた。そこで、沢木監督が新たに採用したのが、「スペースを攻める」ラグビーだ。

 SH流のプレーは、その新しいスタイルにマッチした。また、彼自身もニュージーランド代表などの試合を見ながら、さらにラグビー理解度を深めていったという。そして昨年9月17日、トップリーグ第4節でパナソニックに45-15と快勝。その結果は、SH流にもチームにも大きな自信となった。

 シーズン中も沢木監督との対話を積極的に重ねたSH流は、前の試合を振り返りつつ、次の試合でどういうプレーをすべきか明確にすることを怠らなかったという。そして迎えた、日本選手権・決勝――。準決勝・帝京大戦の反省を踏まえてSH流は、「この試合はアティチュード(試合に対する態度)でひとりにならず、アタックもディフェンスもコミュニケーションをとって組織的に動くこと」をテーマに掲げて試合に挑んだ。

 決勝戦、それが顕著に現れていたのはディフェンスだった。前半28分、パナソニックに押し込まれるも、FL(フランカー)ジョージ・スミスが相手にプレッシャーをかけ、乱れたボールをPR(プロップ)石原慎太郎がインターセプト。今シーズン掲げた「常に立ってプレーする」「相手にプレッシャーをかける」という組織的ディフェンスを最後まで貫きピンチをしのいだ。

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