サントリー2冠達成。立役者となった
165cmの新主将、その名は「流大」

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 沢木監督はその理由を、「僕の勘」と説明する。だが、チームが苦しむなか、メンバーに選ばれても選ばれなくても練習から常に全力で取り組むSH流の姿を見ていたのだろう。ジョーンズHCがサントリーを率いていた時代と比べ、ハードワークの文化が薄れていると感じた沢木監督は、その復活の象徴としてSH流に白羽の矢を立てた。

 ただSH流も、最初からリーダーシップを発揮することができたわけではなかった。帝京大でもキャプテンを務めていたが、大学時代とは違い、サントリーでは年上の選手がほとんどで、大ベテランや世界的に有名な外国人選手もいる。

 キャプテンに就任したばかりのころ、SH流は練習中でミスが起きても、ポジティブな言葉ばかりを発して盛り上げていたという。だが次第に、「それではいけない。言わなければいけないことは言わないと」と感じ、ミスをしっかりと指摘するようになった。

 また、沢木監督やSO小野から「キャプテンはパフォーマンスを出すことが大事」と言われ、それで気持ちが吹っ切れたという。練習態度やトレーニングだけでなく、プレーで、背中で、チームを引っ張ることも必要だと実感したSH流は、今シーズン、新たなことに取り組んだ。それは、スペースを見極めること、そしてそのスペースに左右の足でキックを蹴ることだった。

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