釜石も神鋼も超える帝京大の8連覇。逆転の主役は「平尾2世」松田力也 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 相手FWの疲れが見えてきた前半30分、自陣10mの場所で対面する選手がFWだと判断すると、SO松田はパスダミーからランで抜け出し、裏にキックを蹴ってチャンスメイク。その一連の流れから相手ゴール前まで迫ると、SO松田は相手のタックルを受けながらもインゴールにグラバーキック(※)を放った。そして、そのキックを拾ったNo.8(ナンバーエイト)ブロディ・マクカラン(2年)がトライ。外とのコミュニケーションをはかり、スペースにキックを蹴る――SO松田が「いつもどおり」と胸を張るプレーだった。

※グラバーキック=ボールを地面に転がせる蹴り方。

 2本目のトライも、相手ボールを奪った後にSO松田がWTB(ウィング)竹山晃暉(2年)や外にいるFWの選手をうまく使い、CTB(センター)矢富洋則(3年)のトライを演出した。自身でゴールもきっちりと決め、前半のうちに14-14の同点に追いつくことに成功。SO松田は「パス、キック、ランとさまざまなオプションを使って相手の裏をかく」と自己分析するが、そのとおりのプレーを大一番で披露した。

 後半のキックオフは、7人制ラグビーのようにSO松田のキックをNo.8マッカランがキャッチし、「この試合のために準備してきた」(SO松田)という戦略で相手にプレッシャーをかけ続ける。その後、パスをインターセプトされて14-19とふたたびリードされるも、試合は徐々にフィットネスで上回る帝京大のペースに。そして後半15分、LO(ロック)姫野和樹(4年)が抜け出すと、CTB矢富が右隅に今日2本目のトライを挙げ、ふたたび19-19の同点とした。

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