釜石も神鋼も超える帝京大の8連覇。逆転の主役は「平尾2世」松田力也 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 SO松田は京都の名門・伏見工時代から注目を浴びていた逸材で、ユニチカでプレーした父・大輔氏の影響で6歳からラグビーを始めた。陶化中(とうか/現・凌風学園)→伏見工という経歴は、昨年10月に亡くなった「ミスターラグビー」こと平尾誠二氏と重なり、高校時代から「平尾2世」との呼び声も高かった。

 東海大にリードされても、SO松田はいたって冷静だった。「自分たちのミスから2トライを獲られましたが、FWはしっかり戦えていた。自分たちの土俵は敵陣で、そこでプレーすればトライを獲れるという自信はあった」。

 残り時間は60分強で14点差。強引に自陣から攻めたくなる状況のなか、SO松田は左右にキックを蹴り分け、エリアを意識して戦うことに終始する。その判断は、午前中までの雨でぬかるんだグラウンドと、相手のFWが強いと考えてのことだった。SO松田はこう振り返る。

「味方のFWを前に走らせながら、東海大の大きなFWを後ろに走らせれば、相手のフィットネスは落ちてくると思っていた。相手が蹴り返してくるのはわかっていましたし、相手(ディフェンスで)が上がれば、その後ろにスペースができ、下がれば、その前にスペースができる。我慢すればチャンスは来る。プランどおりでした」

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