トップリーグ全勝対決。サントリーがヤマハを粉砕し、優勝に大きく前進 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 前半14分、ヤマハ発動機は自陣5メートルの場所でこの試合、最初のスクラムを迎える。ボールはヤマハ発動機で、2011年に清宮監督が就任して以来、日本代表でも指導する長谷川慎コーチが鍛えてきた最大の武器で、サントリーにプレッシャーをかけようとした。

 しかし今シーズン、元日本代表コーチのマルク・ダルマゾをスポットコーチに招聘するなど、スクラムを「強みのひとつにしようと鍛えてきた」(沢木敬介監督)というサントリーは、逆にプレッシャーをかけてターンオーバーに成功。しかも、そのボールを素早く外に展開し、トライランキングでトップに立つWTB中靏(なかづる)隆彰が、今シーズン14本目となるトライを挙げて10-7と巻き返した。

 このスクラムだけで、試合すべての流れが逆転したわけではない。ただ、サントリーの特にFW陣にとって、メンタル的に「いける!」と思わせたことは事実だ。

 勢いに乗ったサントリーは、スクラムだけでなく、身長2メートルのLO(ロック)ジョー・ウィラーを中心に、相手の起点のひとつでもあるラインアウトにもプレッシャーをかけ始めた。また、ヤマハ発動機のキャプテンFL(フランカー)三村勇飛丸(ゆうひまる)が「こちらが仕掛けたというより、相手のほうが先に動いていた」と振り返ったように、オーストラリア代表111キャップのFLジョージ・スミスを筆頭に、接点でも少しずつサントリーが優勢となっていった。

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