対抗戦6連覇も「満足せず」。帝京大の進撃はどうにも止まらない (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  photo by Kyodo News


 一番外の相手ウイングが前に出てくるのを見るや、松田はディフェンスラインの裏に右足でボールを転がした。微妙にボールに変化をつけるキックだった。ゴールライン直前でバウンドが変わり、これをフルバック尾﨑晟也が取ってインゴールに飛び込んだ。

 鮮やかな先制トライだった。松田が淡々と振り返る。

「(相手)ウイングが上がってきたので、裏にスペースがあるのがわかっていました。(尾﨑とは)ずっとコミュニケーションとっていますから、いっしょの絵が見られているのが大きいと思います。しっかりと思いがつながったというか、あれで勢いに乗れました」

 この試合の帝京大のテーマは『挑戦』だった。『厳しく、激しく、やり続ける』だった。松田が説明する。

「チームでやろうとしていたのは、挑戦という言葉があるように、挑み続けて、戦い続けることでした。厳しく、激しく、力強く前に出る。アタックでもディフェンスでもそれをやり続けることでした」

 特にディフェンス。連係の密さ、判断のはやさ、結束の強さがある。チームの成長を聞けば、松田はこう短く言った。

「ディフェンスのとき、みんながすごく体を張っているところです」

 さらにいえば、基本プレーの忠実さであろう。帝京大と明大の一番の差は「ミスボールに対してのリアクションのスピード」だった。例えば、セービング。松田のそれも抜群にはやい。なぜか。

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