新生ジャパン、アルゼンチン戦完敗で露わになった課題と対策 (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro


「でも、こちらは小柄でも耐えるところは耐えられていた。まとまれば、イケるでしょう。お互いの癖など、もっとお互いを知らないといけないと思います」

 準備時間の短さを考慮すれば、よくスクラムは組んでいたのではないか。特に35歳の初キャップ、左プロップの仲谷聖史である。純朴な一男一女のお父さんは試合前のアップで感極まって泣いていた。

「スタンドの友人や知人がめっちゃ、声援をくれていたので」と、耳がつぶれたスクラム職人は照れた。相手の印象を聞くと、「重いし、巧いし、両方でした」と言った。

「初めはよかったんですけど、中盤ぐらいからは後ろ(ロック)の押しが緩んじゃったですね。(スクラムは)差し込むとイケるんですけど、その場で止まっちゃうと落とされてしまった。強引に力で持っていかれるときもありました」

 仲谷は105kg、スクラムで後ろにつくロックの梶川喬介も105kg。対するアルゼンチンのトイメンの右プロップは123kg、その後ろの右ロックが117kgもあった。重量がすべてではないが、どうしても受けると重さをモロに抱えることになる。だから、ヒット勝負。足の位置やバインドの位置、背中の方向など、組む前の態勢がより大事なのだ。

 ヤマハ発動機のスクラムを日本一に育てた臨時コーチの長谷川慎さんは「この期間でできることは100%できました」と評価し、小声でこう説明してくれた。

「(選手は)何が悪かったか、ちゃんと理解していると思います。組む前に決められたことをできなかったということです。一番大事なことは、きついときにきついことができるかどうかです。これはできるようになります」

 頼もしいかぎりである。個々をみれば、終了直前にトライを奪ったウイングのレメキ・ロマノラヴァほか、堀江、ナンバー8のアマナキ・レレイ・マフィ、立川、山田章仁、FB松島幸太朗ら、高い能力を示した。ノーサイド直前にトライを返すなど、平尾さんがよく言っていた「あきらめない」姿勢も見せた。

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