新生ジャパン、アルゼンチン戦完敗で露わになった課題と対策 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 結局、20-54の完敗だった。立川はふーっと息を吐きだした。

「強かったです」

 そう。対するアルゼンチンは強かった。昨年のワールドカップ(W杯)ベスト4の強豪である。このチームは豪州、ニュージーランド、南アフリカとも戦ってきた。なのに、日本は集合して1週間。しかも故障や辞退などで思うようなチーム編成ができず、この日出場した23人のうち13人が初キャップだった。つまりチームとしての成熟度が違ったのである。

 新しいシステムのディフェンスが乱れた。これは簡単にいえば、ラインの外から内に圧力をかけて、ボールキャリアを内に行かせて仕留めるイメージなのだが、インサイドを何度もブレイクされた。それぞれの意識はあっても、組織としての完成度が低かった。連係を欠いていた。

 例えば、後半の開始直後に許したトライ。中盤でマイボールのラインアウトを奪取され、ディフェンスラインがガタガタとなった。待つのか、出るのか。ラインのずれを相手CTBに突かれ、最後は快足ウイングのコルデロにトライされた。

 この試合が39キャップ目。スタンドオフ(SO)の田村優は「タックルがどうこうというより、システムの問題です」と反省した。

「誰が悪いとかじゃなく、チームのルールが守れなかったということですね。こういうプレッシャーの中で初めて試合をする人もいたので、熱くなって動いてしまう人もいたのかと思います。ひとりが(ルールを)破ると、全部が崩れてしまいます」

 勝負のポイントだったスクラムは序盤、健闘した。相手のコラプシング(故意に崩す行為)の反則も誘った。でも、時間とともに劣勢に回った。マイボールのスクラムをターンオーバーされたり、コラプシングの反則をとられたり。共同キャプテンのフッカー堀江翔太は「8人でまとまって押せなかった」と漏らした。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る