大学ラグビー8連覇を狙う帝京大、迎える早稲田戦に死角はあるか (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke


 スクラムで立て続けにコラプシング(故意に崩す行為)のペナルティをとられて、帝京大はペースを崩してしまった。接点でも後手をふむ。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で姿勢が高い。ふたり目が遅い。受けてしまった。

 前半15分。自陣ゴール前のペナルティでスクラムを選択され、そのスクラムからの連続攻撃で慶大スタンドオフ(SO)の古田京に先制トライを許した。今季、初めて、ゴールラインを割られた。

 岩出監督は言った。

「どこかで慢心じゃないですけれど、心の中に隙があったんじゃないかと思います。本当の実力がないのかもしれませんが」

 最後のフレーズは無論、本心ではあるまい。学生のフィジカル、ラグビー理解度は高いし、ディシプリン(規律)もきちっとしている。ラグビーに対する真摯な姿勢は相変わらずで、約140人の部員による部内競争も熾烈である。練習試合では社会人のパナソニック、サントリーに互角の勝負を展開しているのだ。

 結束モールをぐりぐり押し込んでトライをポンポンと取り、勢いづけば、赤いジャージはもう止まらない。FW、バックス一体となった波状攻撃はすさまじかった。

 もっとも強さを印象付けたのは、例えば、ウイング竹山晃暉の戻ってのセービングなどの基本プレー、ラインアウトでのナンバー8ブロディ・マクカランの安定ぶり、エースのSO 松田力也の百発百中のゴールキックである。

 日本代表の松田は王者ならではのプレッシャーを口にした。

「自分自身もチームも意識はしていないつもりですけど、絶対勝たないといけないという思いはみんな持っています。その中で、どうしても硬くなったりしているのではないでしょうか」

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