我々に託された平尾誠二の遺志。「2019」は成功させなければならない (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 前回の1995年ワールドカップ南アフリカ大会で、ジャパンはニュージーランド代表「オールブラックス」に17-145と歴史的大敗。「日本ラグビー最後の切り札」として監督に就任したときは、「世界にひと泡吹かせたい」と語っていたが、再建は思い描いたようには進まなかった。それでも、1年あまりかけて辛抱強くチームを強化すると、1998年10月にワールドカップ・アジア予選を見事突破。本戦を5ヶ月後に控えた1999年5月には、格上が揃うパシフィック・リム選手権で悲願の優勝を成し遂げた。

 期待が高まる時期に行なわれたインタビューでの出来事。そのとき平尾は、のちに日本の武器として掲げるようになった「リズム&テンポ」という言葉を閃(ひらめ)いた。正確に言えば、「わかりやすく、伝えやすいキーワード」を探し当てた。

「よく、『日本らしさを前面に出して勝負する』と言いますけど、この『らしさ』というのが怪しい。たしかに日本人ならではの器用さ、すばしっこさは世界を相手にしたとき、大きな武器となりますよ。でも逆に、『らしさ』ゆえに負けてきたこともある。まずは、そこのところを整理することから始めないと。スピード? いや、違う。う~ん......、そや、『リズム&テンポ』や。ほら、祭りのときの太鼓のリズムとテンポ。日本人の身体に沁みついている、アレですわ」

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