ラグビー平尾誠二が25年前に語った「子どもたちに伝えたいこと」 (5ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 そしてもうひとつは、平尾自身のラグビー観に関わる話だ。

「大学を卒業して、イギリスに留学して、リッチモンドというところでラグビーをやっていたときのこと。練習に参加するようになって、少し経ったときに試合があったんです。前日のメンバー発表。それが衝撃的というか、斬新だったというか......。

 まず、『ラグビーがうまい15人』を選ぶんです。僕も入りました。かろうじて、だろうけど。そしたら、その15人でポジションを組むんです。プロップをふたり選んで、フッカーを選んで......なんていう方法ではなく。専門職なんて関係ない。

 僕はね、中学からラグビーを始めて、スタンドオフ、センター、フルバックはやってきたけど、それ以外は一度もない。でも、そのとき言われたのは、ウイングでした。『できない』とは言えないでしょ。そんなこと言ったら、試合に出られなくなるから。なんだかよくわからないままやりましたよ、ウイング。ラグビー人生で、1回だけ」

 今でこそ、3次攻撃や4次攻撃となればスクラム最前列の巨漢フロントロー(プロップ、フッカー)でもバックスラインに入って走り、ボールを回さなければならない。逆にバックスも、モールやラックでは敵を跳ね飛ばしてフォワード並みの働きをしなければならない。

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