ラグビー大国ニュージーランドを撃破。日本の快挙はこうして生まれた (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by JMPA

 ただ、課題も以前から明白だった。それはディフェンスだ。

 スピードが速く、フィジカルの強い選手が揃う世界の舞台では、どうしても簡単に突破されてしまう。そこで、2012年から指導する瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は、「放っておいたらアタックの練習ばかりをしてしまう」メンバーに対し、今年3月ごろからディフェンス中心の練習を課し続けた。

 日本のディフェンスは、組織全体を前に押し上げて守る「ブリッツディフェンス」である。相手との接点でプレッシャーをかけないのであれば、すぐに7人が起き上がって前に出て、ひとり目がロータックルで相手を止め、ふたり目は挟むようにタックルし、オフロードパスをされる前に倒す。

 日本は今年6月末に初戦の相手が決まったときから、ずっとニュージーランドを分析していたという。そこで考えついたのが、個の強いニュージーランド相手に対してスローペースで粘り、時間をかけてアタックすることだ。それは、ターンオーバーからの失点を防ぐ狙いもあった。

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