【ラグビー】スコットランド戦で見えた新生ジャパンの収穫と課題

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 松田の述懐。

「あれは確実にボールを取りにいって、走るつもりだったんです。(笛の瞬間)ノックオンをとられたと思った。でも......。動揺したし、悔しい思いがすごくあります。チームに迷惑をかけてしまいました」

 スロービデオで確認すると、松田の左手は上から下に動いている。要は、どうレフリーに映るかである。故意のノックオンでないと示すなら、左の手の平を広げ、下から上に動かさないといけない。まだ22歳の大学生。若いというか、未熟というしかあるまい。

 伏線はある。この日は先発FBの松島幸太朗が前半序盤に負傷退場し、松田はピッチに立った。あまりにも早い出番。「意外な展開で出ることになって、動揺した部分は少しありました。対応するのに少し時間がかかりました」と小声で打ち明ける。

 そういった心理状態がプレーから冷静さを奪ったのかもしれない。ラグビー人生初のシンビンとあって、松田は落ち込んでいた。

「これが世界のレベル(のレフリング)かなと思いました。ふがいない......」

 でも、ハイパントを好捕したり、ランプレーも体をずらして前進したり、非凡さは随所に示した。これも経験である。この屈辱と悔恨を次にどう生かすか。2019年W杯日本大会のホープ、松田は「この経験を財産にしたい」と言い切った。

「ボールを持ったときは全然、通用したと思います。そういうところは自信になったので、チャレンジする気持ちを忘れずにやっていきたい。楽しみを喜びに変えたい」

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