2016.04.25

【ラグビー】後がなかったサンウルブズ、2019年につながる歴史的1勝

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 結局、36-28の逆転勝利である。ロックのリアキ・モリはこう、漏らした。

「まるでワールドカップみたいだ」

 つまり、劇的なW杯の南アフリカ戦の日本勝利と同じような試合だったといいたかったのだろう。正確にいえば、ちょっと展開は違うが、スタンドの盛り上がり、歴史的勝利という意味では似ている。

 チーム最年長、5月に38歳となるロック大野均も「歴史的勝利ですね」と無精ひげに包まれた顔をくしゃくしゃにした。

「あこがれていた舞台での初勝利です。そこに自分が立てるとは思っていなかった。でもそこにいて、若い選手と一緒に喜べるというのはうれしいですね」

 喜びでいえば、フロントロー陣の充実感はひとしおだった。1週前の試合ではスクラムで粉砕された。屈辱だった。が、しっかり修正した。この日のキーワードは「先手」と「結束」「我慢」である。相手より先にヒットする。ボールが投入される「ボールイン」の時も、相手より先にプッシュする。そして低く。8人がひとつの固まりとなって我慢する。

 左プロップの三上正貴は試合の3日前に第一子の女の子が誕生していた。試合後、病院の妻から携帯にメールが届いていた。テレビで試合を見ている赤ちゃんの画像付きで。<娘も見ているよ!>

 三上が照れる。

「まあ、女の子なんで、(勝利の女神で)勝利を呼び込んでくれたんですかね」