【ラグビー】日本男子セブンズ、見えてきたメダルへの道すじ (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  長尾亜紀●写真 photo by Nagao Aki

 最後は左ライン際のトゥキリ・ロテが身を呈してパスを捕球、彦坂匡克とループ()し、ど真ん中に飛び込んだ。観客の凄まじいブーイングの中、坂井克行のゴールも決まり、19-14と逆転した。結局、24-14の勝利。
※ボールをパスした選手が、外に周り込み、パスをした相手から再度パスを受けるプレー
 
 帰化したフィジー出身のトゥキリが英語交じりの日本語で言った。右腕に巻いた肌色のテーピングテープには黒マジックで愛妻と愛娘の名前が書かれていた。

「ジャパンはグッド・チームだよ。フィットネスとタックル、コミュニケーションがよくなった。一番大事はディフェンスだった」
 
 なるほど、ディフェンスのレベルアップがチーム躍進の原動力となっている。特にこの2週間は、ディフェンス強化に徹してきた。前に出るディフェンスはそう変わらないが、メンバー間のコミュニケーション、個々の判断力が高まってきた。

 さらに低いタックル、倒したら早く起き上がってファイトする。試合中、懸命な戻りからゴールライン寸前の猛タックルでトライを食い止めた羽野一志は言い放った。

「最短コースを思い切り走っただけです。もうガッチリ、ボールに絡んで、"きたな"って。チームのディフェンスの堅さは断然、上がっていると思います」

 決勝こそ2トライを奪われたが、それまでの5試合はいずれも無失点だった。今大会、得トライが31本、失トライはわずか2本。鉄壁の防御と言ってもよい。経験がチーム防御に余裕をもたらしている。

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