【ラグビー】サンウルブズ黒星発進も、決死のタックルに未来が見えた (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 やはりSRは甘くなかった。1対1のタックルが甘くなると、大幅ゲインを許してしまう。後半に修正はしたものの、日本代表の武器であったはずのスクラムも大半は押し込まれた。ラインアウトの球出しもいいボールが少なかった。モールも押し込まれた。

 簡単にいえば、連係不足、精度不足ということである。フィジカル、スピードでは分が悪い。ラックで勝負するかどうかの見極め、低いプレーと速いサポート、そこを疎(おろそ)かにすると傷口が広がっていく。

 そしてディシプリン(規律)である。反則が16個(相手は11個)。勝負どころでのスタンドオフ、トゥシ・ピシのシンビン(反則による一時的退場)は痛かった。結局、4トライを許し、13-26で敗れた。

 マーク・ハメットヘッドコーチは母親を亡くしてニュージーランドに緊急帰国後、試合の前夜に再来日していた。悲しみをこらえ、この試合に集中し、こう漏らした。

「選手たちが100%の力を発揮してくれた。みんな一致団結して、新たな歴史を創ることにプライドを持ってくれている。こういう風に戦っていけると分かっただけでも収穫だと思う。これから課題を改善していきたい」
 
 このような試合があと14試合は続く。移動距離も長い。次戦チーターズ戦は3月12日で、会場はシンガポール。そして、南アフリカでの試合となると、移動で2日間かかる。試合も環境もタフになる。SR参入の目的は日本代表の強化とラグビーの普及・人気アップである。なんといっても、勝つことが一番なのだ。

 キンちゃん(大野均)は元気である。

「プレーの質、タフな環境、すべてがジャパンのためになります。年齢に関係なく、ジャージを着ることにこだわっていきたい。他のチームより伸びシロはありますよ」

 見応えある試合だった。さらにチームが成長すれば、ファンも自然と拡大していく。もう選手たちがチケットの売れ行きを心配しなくていいようになるだろう。

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