パナソニック3連覇! 日本ラグビーをけん引するW杯戦士たち

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 チームの成長を聞けば、堀江主将は「コミュニケーション能力がどんどん上がってきました」と言った。田中も「コミュニケーション」と即答した。試合中、パナソニックは選手から、よく指示の声が飛び出す。プレーに一応、決めごとはあるのだが、誰かが異なる動きをしたら、周りの選手がそれに判断よく、瞬時に反応していくのである。

「アンストラクチャー(崩れた局面)の王者」と言ってもよい。例えば、後半20分のパナソニックのトライである。ピッチの中盤で相手の短いキックを捕った田中はタックラーを弾き飛ばし、スペースをついて前にイッキに出た。これに左ライン際で上がってきた堀江が反応し、タックルされると、さらにフォローしたセンター(CTB)のJP・ピーターセンにパス。今季でチームを離れるピーターセンが左隅に飛び込んだ。ゴールも決まって、27-14。これは大きかった。
 
 田中が「うちはみんな、リアクションがすごい。僕が(相手ディフェンスの)裏に抜けた瞬間、堀江やJPが動いてくれたから、トライにつながった。1人というより、チームでとったトライです」と胸を張れば、堀江は「ひとりが違う反応をした瞬間、全員が反応するというのはいつも、練習から言っていることなので」と笑顔で説明した。

 判断の早さ、正確さ。これはもう、日本代表が何人も並ぶ選手たちが、よき指導のもと、質の高い練習をしているからだろう。名将ロビー・ディーンズ監督は「“ナイツメンバー”の成長が非常に著しかったシーズンだと思います」と漏らした。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る