【ラグビー】先輩リーチ マイケルの檄。東海大が王者・帝京大に挑む

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 アタックの時、ボールを持つ選手がタックルを受ける。そのボールキャリアは踏ん張る。2人目が相手をつかみ、5歩、つまり3mほど前に出る。残されたタックラーは回って戻らなければいけない。これは疲れる。

 さらに自信のラインアウトモール。まずは立つ意識。倒れてもすぐに起き上がる。一体となって前に出る意識。木村季由(ひでゆき)監督が会見後、こっそり教えてくれた。

「いつもやっているのは、全員で共通理解をすることです。その上で、FW8人であれば、16本の足がしっかり前を向いて前進していくのです」

 その状況を作るため、低くなって隣とのバインドを締めたり、からだを動かしてボディーポジションを変えたりするのである。相手の弱い箇所に力を結集する。「塊」の真髄を木村監督が説明する。

「どんな状況になっても、うちは固まっているのです。揺さぶられても固まれますし、固まり直すこともできすます。やることのイメージは共有できています。頭の使い方も」

 こちらの顔を見て、ちょっと笑った。

「頭って脳ミソじゃないですよ。頭の位置のことです。脳ミソの使い方はあまり共通していないですから」

 冒頭の後半28分の同点トライの後、難しい位置からのゴールも決まって逆転。さらに4分後、モールを組み直して押し込み、またもタタフが右サイドを抜け出して、ダメ押しのトライを奪った。

 タタフは東京・目黒学院高卒の1年生。183cm、110kg。強靭な足腰、しなやかなランで高校日本代表、ジュニア・ジャパン(20歳以下日本代表)としても活躍した。夏、靭帯をケガして、ようやく復帰した。

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