【ラグビー】さらば「失速明治」。古豪を変えたメイジウェイとは (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 また昨季から専任のストレングス&コンディショニング(S&C)コーチが就いていることで、個々のフィジカルがアップした。この日のブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)の優位さは、動きの精度と体力、フィジカルゆえである。

 実は昨年との大きな違いが、シーズンに入ったら、朝6時半からの早朝練習をやめ、午後練習に変わったことである。中村主将は「(午後は早朝に比べ)体が動くので、プレーの精度が高まっています」と効果を強調するのだった。

 丹羽監督は就任3年目。選手寮に住み込み、私生活から学生を指導し、強い明大復活にかけている。やはり大学スポーツ、規律なきところに勝利はないのである。

 昨季までは、寮生活の規律を守るため、門限や禁煙、「食事中は携帯禁止」などの規則を破ると、丸坊主になるなどの罰を科していたが、今年はあえて罰則をなくした。「自律」「自主性」を高めるためである。

 中村主将の説明。

「規律を守らせるのではなく、自ら守るのです。(試合に)出ているメンバーも、出ていないメンバーも、引退(卒業)するまで一生懸命、明治のラグビーをやり切るのです」

 王者帝京大と比べても、学生の才能では引けをとらない。伝統的に自律と自信があるときの明大は怖いのである。

 明大は一昨年度、昨年度と早明戦に敗れて失速した。昨年度は対抗戦で快勝していた筑波大に大敗し、大学選手権ベスト4への道を断たれた。もう同じ轍(てつ)は踏まない。

 故・北島忠治監督の遺した『北島イズム』が背骨を貫く丹羽監督が、のどかなユーモアを漂わせながら言った。

「今日でまたチームは成長したと思います。失速明治と言われていたことを払拭したい。“今年は全部勝っていけ”と(天国の)北島先生は言われていると思うので。必ず1月2日(準決勝)、ここに戻ってきます」

 今季のスローガンが『リバイブ(復活する)』。“走る重戦車”が1996年度以来、19季ぶりの大学日本一へ突き進む。大学ラグビーファン待望の『明大復活』の兆しがようやく見えてきた。


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