【ラグビー】さらば「失速明治」。古豪を変えたメイジウェイとは (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

「速い球出し、ワイドな展開。今年はバックスでも勝負しようと思っています」

 もちろん明大といえば、重戦車の『前へ』である。看板がスクラム。後半の序盤、早大ボールのスクラムをめくり上げて、コラプシング(スクラムを故意に崩す行為)の反則をもらった。スクラムの核、フッカーの中村駿太主将はスクラムを組む前、「猛プッシュ、いくぞ!」と声をかけたそうだ。

「スクラムが自分たちの強みであり、相手も自信を持っているところだった。そこでしっかり勝負をしたかった。あれでチーム全体が盛り上がったかなと思います」

 このPKのラインアウトから、明大は効果的なトライを加えた。さらに、その成長ぶりが見えたのが、ラスト10分間の自陣ゴール前のディフェンスだった。相手の再三のモール攻撃にも耐え、反応の速さと確実なタックル、連携でしのぎ切った。

 32-24。明大選手が両こぶしを冬空に突き上げる。すでに5連覇を決めている帝京大と6勝1敗で並んでの関東大学・対抗戦グループの同時優勝を決めた。3季ぶりだ。

 中村主将が胸を張る。「絶対、ここでトライをとられるな。それが"自分たちのプライドだ"と言い続けていました」

 最後まで守ることができたというのは、ハードワーク(努力)の成果である。濃密、かつ過酷な練習があったからだ。ディシプリン(規律)も加わった。中村主将によると、練習で走る量は「昨年の2倍から3倍」という。10月までは1日3度の練習も行なっていた。

 シーズンに入っても、走る量はさほど落ちてはいない。明大はGPSを活用している。中村主将が説明する。

「去年は練習で走っても5000mぐらい。ことしは6000、7000m走っていますから。帝京大戦では、僕は6600m走っていました。今年の練習量は今までの明治には負けません」

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