W杯戦士も出場のラグビー早明戦。「明大有利」の逆転はあるか? (3ページ目)

  • 斉藤健仁●文 text by Saito Kenji  photo by AFLO

 高校時代にはエディー・ジャパンの合宿にも呼ばれた突破力のあるCTB梶村祐介(2年・報徳学園)はU-20日本代表での海外のチームとの対戦を経て、今年度はパフォーマンスが安定し、ミッドフィールドでの存在感はよりいっそう増した。また、高校日本代表経験者で、長短のパスでゲームをコントロールするSO堀米航平(2年・流通経済大柏)の成長も著しい。チームを先頭で引っ張るキャプテン、フッカー(HO)中村駿太(4年・桐蔭学園)、先述の田村、松橋を含め、センターラインに頼もしい選手がそろったことは心強い。

「打倒・帝京」を掲げて、あらゆる面で強化を継続してきたことが、丹羽体制3年目で、目に見える結果として現れてきたことは間違いない。昨シーズンは、大学選手権で明らかに調子は下降線だったが、今シーズンは、この早明戦に快勝し、大学選手権にピークを持ってきたい。

 一方の早大はどうだろうか。人工芝のグラウンド、寮、食事面などは従来から整備されていたが、コーチ陣の顔ぶれ、選手のリクルートにおいては、帝京大や明大に見劣りしてしまう。しかし、今年からようやく、エディー・ジャパンで3年間、S&Cコーチを務めた村上貴弘氏がフルタイムのコーチに就任。選手たちの肉体改造に取り組み始めた。

 32-31で勝利した慶応大戦(11月23日・秩父宮)で、SO横山が左肩のケガから復帰し、W杯でトライを挙げたFB藤田といった役者も先発に名を連ねた。「最後の早明戦ですし、負けたくない」と藤田が意気込むように、調子は上向きだ。明大有利の下馬評の中で、逆に白星を挙げることができれば、大学選手権に向けて大きな自信になるはずだ。

 2008年には対抗戦6位と低迷し大学選手権出場を逃した明大が、24-22で早大に勝利した例もあった。毎年、クロスゲームになることで知られる伝統の一戦は、最後まで何が起こるかわからない。


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