【ラグビーW杯】オフ・フィールドで支える廣瀬俊朗の「チーム愛」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・写真 text & photo by Saito Kenji

 日本代表を率いるエディー・ジョーンズHCは2012年のチーム発足時、「人間性とキャプテンシー」を高く評価して、まだ代表キャップ1だった当時30歳の廣瀬を初代主将に任命した。

 廣瀬も指揮官の期待に応え、100パーセントの力で「ハードワーク」を実践し、練習場や試合会場のロッカールームをきれいにするなど、フィールド外でもリーダーシップを発揮。日本代表のチーム力の底上げに尽力した。また、選手としても2012年~2013年の2年間、WTBとして28試合中21試合に出場し、ウェールズ代表を撃破する立役者のひとりにもなった。

 しかし2014年の春、ジョーンズHCはFLリーチ マイケルを新たな主将に任命した。世界的名将は「廣瀬は2年間すばらしいキャプテンを務め、本当に強いチームを作ってくれた」と賛辞を送ったが、WTBとしてポジションを保証できないとして、廣瀬にSOへのコンバートを示唆した。

「もちろん、ショックでした。2年間、『日本代表のキャプテン』という名誉ある立場のために、すべての時間を費やしてきたつもりだったので、(心に)ポッカリと穴が空いた気分でした。(エディー・ジャパンの)3年目はケガもしたし、精神的にいろいろありましたね」と、当時のことを振り返る。

 だが、廣瀬は決して悲観することはなかった。「チャレンジするだけでした。日本代表でまたプレーできること、SOとして新しい挑戦ができることもうれしかったです」と、すべてを前向きに考え、すぐに気持ちを切り替えた。

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