【ラグビーW杯】オフ・フィールドで支える廣瀬俊朗の「チーム愛」

  • 斉藤健仁●取材・文・写真 text & photo by Saito Kenji

「『人のためにやる』と思えば、日本はすごい力を発揮する。チームとしてそういうところが引き出せれば、最後に良い結果が出るのでは」と話していた廣瀬は、南アフリカ代表戦の前にも、「選手たちの気持ちが高まるようなことをやります!」と宣言していた。実はグラウンドの外で、廣瀬は昨年まで日本代表に選出されていた2011年大会の主将No.8(ナンバーエイト)菊谷崇と相談し、選手のモチベーションを上げるビデオを制作していたのである。

 この4年間、日本代表に選ばれながらもワールドカップに出場できなかったSH(スクラムハーフ)内田啓介、CTB(センター)山中亮平、PR(プロップ)坪井秀龍ら選手たち、トップリーグ全チーム、さらに携わったコーチ、そしてスタッフの声を集めて数分間に編集し、南アフリカ代表戦とサモア代表戦の前に見せた。

「このチームで、ワールドカップで歴史を作れたら素晴らしいですし、自分たちの後ろにはみんながいるんだと実感してほしいと思った」

 ビデオを制作した理由を、廣瀬はそう語る。

 南アフリカ代表戦から中3日で行なわれたスコットランド代表戦の前にも、FL(フランカー)リーチ マイケル主将に頼まれ、「すごい環境が変わったことをしっかりと受け止め、次の準備をしよう」とミーティングで話をした。BK(バックス)の選手としてはチームのなかで2番目のベテランである廣瀬は、リーチ主将やFB(フルバック)五郎丸歩副将からの信頼も厚く、精神的な支柱となっている。25歳の若手PR稲垣啓太も、「グラウンドの内外で一番、何かを言われると響いてくる。俊さん(廣瀬)がチームをうまく駆け回っています」と、その存在の大きさを認めている。

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