【ラグビーW杯】日本代表を彩る「外国出身選手」の異色な経歴

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji  photo by AFLO

 それでは、日本代表に選出された外国出身者10人の素顔にひとりずつ迫っていきたい。すでに日本国籍を取得している5人の選手から紹介しよう。

 まずは、トンガ出身だがその地でまったくラグビーをせず、日本に来てから始めた男がいる。それが、2度目のワールドカップ出場となるNo.8(ナンバーエイト)ホラニ 龍コリニアシ(33歳)だ。彼の伯父は、三洋電機(現パナソニック)で活躍したWTBで、初めて外国出身者の日本代表としてワールドカップに出場したノフォムリ・タウモエフォラウ氏。だが、ホラニは中学時代まで吹奏楽部でトロンボーンを吹いていた。

 日本にやってきたのは高校1年時の16歳。伯父の影響により、留学先の埼玉工大深谷高(現・正智深谷高)でラグビーを始めた。ラグビーだけでなく、「最初は日本語もわからなかった」というホラニは、花園こそ準優勝したが、当時は同い年でトンガ出身のFL(フランカー)フォラウ愛世(まなせ/NEC)の陰に隠れた存在だった。

 しかしながら、埼玉工大に進学した後もラグビーを続け、2006年には伯父と同じ三洋電機入り。さらに2007年、日本国籍を取得した。トンガでは家系などを意味する意匠を身体に彫るのが伝統だが、ホラニの左腕には「大和魂」という入れ墨が彫られている。愛読書は『週刊少年ジャンプ』。今でも発売日の月曜日に毎週購入している。

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