【ラグビーW杯】スコットランドに完敗。日本の戦術は分析されていた

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 この日のスクラムは、日本ボールが2本に対し、相手ボールは9本だった。それだけ、日本にノックオンが多かったということである。その他、フルバック五郎丸歩(ヤマハ発動機)のPG失敗やイージーミスが相次ぐ。それでも、ゴールライン直前のフルバック五郎丸の猛タックルでトライを逃れるなど、前半は7−12でしのいだ。
 
 ハーフタイム。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は選手たちに声をかけた。「我々のベストプレーができていないのに、5点差しかない。十分、イケるぞ!」
 
 後半開始直後、活躍していたナンバー8のアマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)が負傷で退場した。これは大きな痛手だった。
 
 加えて、疲労からだろう、総じてタックルが若干高くなった。コンタクト後の1歩、2歩が弱くなった。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)では相手に絡まれ、生きたボールが出せなくなった。プレーの精度が低い。これでは、下馬評が高くないとはいえ、過去のW杯で7回中6回、決勝トーナメントに進出している強豪スコットランドに勝てるわけがなかった。
 
 後半24分。相手ゴール直前、センター田村優(NEC)からマレ・サウ(ヤマハ発動機)に通すパスがインターセプトされ、相手ウイングのシーモアに約70メートルを走り切られた。これで2トライ(ゴール)以上となる21点差に広げられ、勝敗の帰趨(きすう)は決まった。

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