【ラグビーW杯】歴史的勝利。日本代表が史上最大のアップセットを起こせた要因

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 これは夢か現実か。ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で、日本代表が過去2度の優勝を誇る南アフリカから大金星を挙げた。歓喜の爆発。約3万の観衆で埋まった英国ブライトンの会場では「ジャパン!」コールが鳴り続けた。

観客席へ挨拶に向かう日本代表の選手たち。スタジアム全体が大逆転劇に沸いた観客席へ挨拶に向かう日本代表の選手たち。スタジアム全体が大逆転劇に沸いた 日本のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が声を震わせる。

「これで日本のラグビーの歴史が変わった」

 それはそうだ。過去W杯での日本の勝利はわずかひとつ(通算1勝2分21敗)だった。24年ぶりの勝利が、世界ランク3位の南アからとは。よほどうれしかったのだろう、観客席では感涙にむせぶ日本人が続出した。

 まさに「信は力なり」である。最後まで桜戦士は勝利にこだわった。

 ロスタイム。日本が敵陣ゴール前の左中間辺りで、ペナルティーキック(PK)をもらう。点差は3点。同点PG狙うかと思いきや、相手がシンビン(10分間の一時退場)でFW が1人少ないこともあって、スクラムを選択した。

 主将のリーチ マイケルが振り返る。

「最後は同点ではなく、勝ちにいこうと思った。練習でやってきたことを信じてやった」

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