【ラグビー】『ネバー・ビー・ハッピー』エディー・ジョーンズ流指導とは? (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 濱田陽守●写真 photo by Hamada Kiyoshi

――それは経験で得た哲学ですか。

「そうです。これまでチャンピオンになったチームはハードワークをしていた。基本的に1つずつを楽しんでいるけど、常にピリピリした緊張感があった。衝突もあった。全員が気を抜かない緊張感が必要なのです」

――エディーさんは選手への要求が厳しいらしいですね。時間を決め、いついつまでにこれを達成しろと。

「我々にはルールがない。でも時間厳守です。そして情熱を持つこと、リスペクトを持つことです。それ以外は、個人個人、違った接し方をしています」

――例えば?

「五郎丸(歩)、藤田(慶和)はタイプがまったく違う。マインドセットも、価値観も違います。同じ接し方をすると、彼らに最大のチカラを発揮させることはできない。
 五郎丸は非常にプライドの高い日本男子です。私はリスペクトします。藤田は、(ゴルフの)石川遼のような感じです。時には厳しい接し方が必要になる。なぜかというと、スーパースターになれる可能性があるからです。周りがそうしようとしている。その誘惑に惑わされないよう、しっかりとフォーカスさせることが自分の役目です。
(福岡)堅樹も違う。彼は非常にかしこい選手で、自分の人生を成功させたいと考えている。彼にはラグビーをもっとエンジョイしてほしい。だから、結構、自由奔放にさせるようにしています」

――エディーさんは、メディアが藤田、藤田と騒ぐのをいやがりますよね。

「藤田が実際、南アフリカ戦でトライをとった時、いくらでも書いてください。彼はまだ大きなテストマッチで何も成し遂げてはいません。(テニスの)錦織(圭)だって、本当に成功するまで、メディアはそんなに褒めたたえませんでした。錦織はリスペクトの高い選手です。ものすごく努力しているのが分かる。ラグビーをしていても、素晴らしい選手になったでしょう」

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