【ラグビー】日本代表のスピードスター福岡堅樹、世界を駆ける (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 小倉和徳 ●写真 photo by Ogura Kazunori

「体が大丈夫だったら、"やれる"との自信は、自分の中にはあります。でも、ハムストリングの不安があったら、自分のスピードで走るのはどうしてもコワさがあって。その恐怖感が今シーズン、ずっとありました」

 つまり完全燃焼はできなかった。端正な顔がゆがむ。「もっとできたんじゃないか」との苛立ちが募るのである。それでも、収穫はあった。課題だった「ボールが来ないときの動きや仕掛け」がわかってきた。どうすれば、ガチガチのマークを崩し、チームの勝利に貢献できるのか。

「どういう形でもらえれば、前に出られるのか。そこの意識から、敵がふだん見ていない側から顔を出したりとか、ブラインドサイド(スペースが狭い側)から回ってみたりとか、結構、ありました。あるいは自分がダミー(おとり)となって、周りを生かしたり......。ボールのもらい方、ボールタッチが少しはよくなった気がします」

 スピードは文句なしだ。50mを5秒台で走る。日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチからも「ワールドクラスのスピード」とお墨付きをもらっている。もちろんラグビーという競技は単に速いだけでは務まらない。タックルもあれば、周りとの連係プレー、コミュニケーションも求められる。

「自分の中ではアタックのバリエーションが増えたのは収穫だったと思います」

 今後の最大の課題はケガをしにくい体づくり。『無事、是、名馬也』なのである。声が陽性に変わる。

「ケガをしないというのは、ひとつの才能だと思います。これからは、ケガをしないというのが目標のひとつですね」

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