【ラグビー】リオ五輪に向けて、男女とも弾みのメダル (2ページ目)

  • 松瀬 学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 通路で、男女の日本代表が交錯した。悔し涙の女子選手が、緊張気味の男子選手たちに雪辱を託す。「がんばってください」「金メダル、お願いします!」

 男子の日本代表は立ち上がり、キックオフで後手を踏み、ペースをつかめなかった。ラックサイドを突破され、香港に先制トライを許した。でも慌てない、焦らない。アジアの「盟主」として、ここで負けるわけにはいかなかった。いわば来年のリオ五輪アジア予選の前哨戦みたいなものだった。

 前半の中盤、15人制日本代表主将のリーチ・マイケルがハンドオフで相手をぶっ飛ばし、左中間におどりこんだ。同点。スタンドから声援が飛ぶ。「日本の宝だぞ、マイケル」と。

 直後にリーチが危険なタックルでシンビンを食らった。が、試合は安心して見ていられた。「ラグビー力」というか、理解力、スキルが違う。フィールドプレーが違う。堅固なディフェンスも光った。

 12-12の試合終盤。猛タックルでチャンスをつかみ、レメキ・ロマノ・ラヴァが勝ち越しのトライを奪った。終了間際。香港の怒とうの攻めをタックルで耐えて、しのぎ切った。

 勝った。24-12。アジア大会3連覇である。主将の坂井克行の言葉に充実感が漂う。

「決勝戦で、今シーズン一番のディフェンスができました。全員でとった金メダルです」
 
 瀬川智広ヘッドコーチ(HC)はこうだ。「選手たちが、日本のプライドを持って戦ってくれた。金メダルしか許されない状況になっていたので、勝ててホッとした。」
 
 総力戦だった。日本国籍を取得したばかりのレメキのほか、15人制日本代表の主軸のリーチも招集した。大会前にはけが人が相次いだが、トレーナーを2人体制にするなど、日本協会の支援も手厚くなった。

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