2014.09.18

【ラグビー】W杯まで残り1年。日本代表に何ができるのか?

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

 そんな指揮官が2年前の2012年4月、まず着手したのは「アタッキングラグビー」の浸透と、それを支えるスクラムとラインアウトの強化だった。

 どんなに鍛えても、日本代表が守り勝つのは難しい――。そう考えたジョーンズHCは、日本人に合ったラグビーとして、世界で一番パスを多用した攻撃を標榜し、「アタック・シェイプ」という戦術を導入した。SH(※)やSO(※)といったパスする選手に複数の選択ができるよう、他の選手を常に周囲に立たせ、ショートパスを連続しつつ重層的な攻撃で相手ディフェンスを惑わして崩す……というものだ。ジョーンズHCは、「サッカーのバルセロナのようなラグビーがしたい」と語っている。

※SH=スクラムハーフ(9番)、SO=スタンドオフ(10番)。

 このような戦い方を遂行するためには、もちろん戦術やスキル練習以外に、80分間戦い続けるフィットネスと筋力強化が不可欠となる。ラグビーという競技性から見ても、相手との接触は避けられない。そのため、「エディー・ジャパン」の練習は3部練習が基本。「ヘッドスタート」と呼ばれる朝5時からのトレーニングを中心に、どのチームにも負けない練習量をこなしてきた。

 そんな努力によって構築された攻撃ラグビーは、すぐに開花する。2012年秋には日本代表として初めて敵地で欧州勢(ルーマニア、グルジア)に勝利し、さらに2013年6月にも初めてウェールズ代表を撃破。特に後半の勝負どころでボールを継続してトライを取り切るシーンは、今までの日本代表になかった光景だ。

 ただ、それらの経験からも、新たな課題は見つかった。2012年秋に行なわれた欧州遠征では、マイボールのスクラム成功率が20%に達しなかった。そのデータを重視したジョーンズHCは、スクラム担当に元フランス代表コーチ、ラインアウト担当に元イングランド代表コーチを招聘。また、FWに対しては、「スクラムを支える背筋の筋肉を中心に3キロ増やせ」という具体的な指示を与え、個々の選手が所属チームに戻っても筋力アップするように指導した。

 その結果、フランス人コーチの下で強化を進め、FW8人が一体となって低く組むスクラムは、現在の日本代表の大きな武器となっている。2013年秋に対戦したニュージーランド代表とスコットランド代表との試合では、スクラムはほぼ互角。今年6月にイタリア代表に史上初めて勝利したときは、ジョーンズHCに「勝因はスクラム」と言わしめた。来年のW杯まで残り1年になったことを考えると、このスクラムは日本代表のストロングポイントのひとつとなりそうだ。