釜石市が開催地に立候補。2019年ラグビーW杯のいま (3ページ目)

  • 松瀬 学●取材・文・写真 text&photo by Manabu Matsuse

 2019年W杯の開催地立候補は10月いっぱいで締め切られる。東大阪市や熊谷市、神戸市などが既に立候補を表明。東北では、仙台市も招致を検討している。

 一方、19年W杯組織委員会は目下、立候補希望都市と個別対話を重ねており、立候補締め切り後、国際ラグビーボード(IRB)側と一緒に候補地視察を実施する。会場決定は来年3月。試合会場は、「10~12会場」になる見通しだ(開幕戦と決勝戦については建て替えられる新国立競技場で開催されることが決まっている)。

 会場選定においては、開催に必要なスタジアムの規模や設備などの諸条件、交通機関、宿泊施設などインフラ面、大会後のスタジアム活用、開催理念、W杯を通したまちづくりなどが吟味されることになる。

 19年W杯組織委員会は、会場選定のほか、約300億円といわれる財源確保と機運の盛り上げ(プロモーション)が主な課題となっている。ラグビーW杯2019組織委員会の徳増浩司事務局長によると、「試合会場の誘致に強い関心を持っているところは20~30自治体」という。

「ラグビー協会はラグビーの普及・発展を、組織委は収益性をより大事にするでしょう。ただ全国の人々をできるだけ巻き込もうとすれば、地域的にバランス良く会場をおけるかがポイントとなります。いずれにしろ、最後は組織委の考えをIRBに納得してもらわないといけません」

 組織委にとっては目下、大会に向けての「戦略づくり」の期間である。日本ラグビー界はアジアで初のW杯を開くことで、どんなレガシー(遺産)をつくり、アジアのラグビーの盛り上がりをどう図っていくのか。大きくいえば、国際平和にどう貢献するのか、である。

 盛り上げに関しては、2020年東京五輪パラリンピックと連携して効率的な運営を図るため、このほど、同五輪パラ組織委員会と連絡会を設置することになった。ラグビーW杯も東京五輪パラも、国内的課題のひとつは震災からの復興支援である。そういった意味でも、開催地として被災地の釜石が選ばれるかどうか、注目されている。

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