【ラグビー】戦力アップの「サクラセブンズ」がリオ五輪へ猛進! (2ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu photo by Matsuse Manabu

 ブレイクダウンでのチームの合言葉が「イノシシ」である。アタックの際、ボールを持った一人目が体をずらして相手にぶつかり、イノシシのようにぐいぐいと前に出ていく。足をかいて、ドライブする。これは世界女子の潮流だが、日本もすぐには倒れないようになった。攻めに粘り強さが生まれた。 

 課題はディフェンスか。優勝したカナダには準決勝で0-38の大敗。竹内亜弥主将(世田谷レディース)が言う。「ある程度以上の強豪が相手になると、全然、自分たちのラグビーができなくなる。1対1のタックルで、相手を倒し切れない。その壁を破らないといけない」

 サクラセブンズの五輪ロードを見ると、昨年のワールドカップで「世界」との差を痛感した。その沈滞ムードを、新戦力の躍進が取り除いてくれた。この大会、若手主体のチームでも十分戦えた。数年前の層の薄さなら、とても考えられなかったことである。

 経験は大きい。18歳の福島わさな(島根・石見智翆館高)は「高校レベルでは絶対、味わうことができない相手と戦えました」と言葉に充実感を漂わせる。「少しは自分から仕掛けていくことができたのが収穫です。もっと体を強くしていきたい」。まだフィジカル面は見劣りするが、若手の成長がチーム内のレギュラー争いを激しくしていく。

 今年最大のターゲットは秋のワールドシリーズのコア(中核)チーム昇格決定大会である。4月からは代表チームがほぼ合宿状態となる。週に5日は合同練習を実施し、チーム力アップを図っていく。

 コアチーム昇格決定大会の相手となりそうなのが、アジアのライバルの中国ほか、南ア、フランスなど。今後のことを聞かれると、浅見HCは短く答えた。

「もう1回、走ります。勝ちます」

 上昇気流にのるサクラセブンズが、イノシシのごとく、リオ五輪へ猛進する。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る