大学選手権。5連覇の帝京大を支える最強のラグビー文化 (3ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu photo by AFLO SPORT

 もはやラグビー部は帝京大の看板である。大学もサポートする。練習環境は大学では随一であろう。グラウンドは人工芝のメインと天然芝のサブグラウンドが整備されている。

 年々買い足した器具がそろうトレーニング施設も充実している。そこで学生たちはほぼ毎日、計画的なトレーニングに励んでいるのだ。

管理栄養士、フィジカルコーチ、トレーナー、学生コーチなどスタッフもいい。

 さらには帝京大には医学部がある。「帝京大スポーツ医科学センター」のサポートを受け、定期的に選手の血液検査も行なわれている。数値が悪ければ、その選手の練習量は落とされる。栄養士と連携し、食事が改善される。

 つまりは『S(ストレングス)&C(コンディショニング)』が徹底されているのだ。こういった環境の中、岩出監督が選手育成に丁寧に気を配るのだからたまらない。指導の要諦が「本気・根気・元気」という。あいさつ、そうじ、規律を大事にする。

 いつも感心するのは、勝っていながら、学生に「油断」も「傲慢さ」も感じられないことだ。みんな、謙虚なのだ。

 今季は日本選手権での『打倒!トップリーグ』も目標に掲げている。目標が高ければ、それだけ普段の意識が高まる。トレーニングのレベルも上がってくるのだ。

 岩出監督は本気なのだ。

「そう宣言しないと前に進まない。練習の質量を上げる。自分たちがより成長するための準備、いいトレーニングをするためです」

 クラブとしてのカルチャーを岩出監督は口にしてきた。その文化が完成したのでは?と水を向けると、岩出監督は「いえいえ」と愉快そうに笑った。

「完成は崩壊の始まりだから。カルチャーに完成などはない。時代は変わる。毎回毎回、目の前のことを誠実にしながら、社会人になってもいい仲間と言われるような、学生を育てていきたい。それが大事でしょう」

 まだ発展途上。王者のカルチャーがどう築かれていくのか。5連覇とはすなわち、帝京大の志の高さゆえだろう。

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