【ラグビー】ウェールズに歴史的勝利!ジャパンの何が変わったのか? (2ページ目)

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

 そんな折、世界ランキング上位3ヵ国のニュージーランド(NZ)、オーストラリア、南アフリカで行なう世界最高峰のプロリーグ「スーパーラグビー」に、日本人として初めて挑戦中のフッカー(HO)堀江翔太、スクラムハーフ(SH)田中史朗が合流した。「日本のベストプレイヤー」とジョーンズHCが評するふたりは、日本代表に合流すると、すぐに日本代表の問題点や課題に気づき、自分たちの経験に基づいたアドバイスをしたという。

 日本代表のラグビーは、「ボールの継続」が生命線。フィジー戦やトンガ戦でボールキャリアがプレッシャーを受けていたことに着目した堀江は、「攻撃時のフォワードの立ち位置が狭くなっていたので、それを広くして、アングル(角度)をつけて走り込んだ方がいい」など、多くのアドバイスをしたという。

 一方、田中は、「もっとコミュニケーションを取ろう。高校や大学での部活の上下関係は、フィールドの中ではいらない。遠慮することはダメ」と力説。15人で行なうボールゲームにおける、コミュニケーションの大事さを説いた。

 そして迎えた6月8日、ウェールズ代表2連戦の1戦目----。パスの基軸となる田中の好判断により、ボールが継続する場面は増えた。結果はトライ数で上回ったものの、相手の攻撃に差し込まれて反則を繰り返し、5PG(ペナルティゴール)を決められて18対22で惜敗。だが、欧州王者をあと一歩のところまで追い詰めたことで、6月15日の対ウェールズ代表2戦目には、国内のテストマッチ最多の21062人もの観客が押し寄せた(2004年の実数発表以降)。

 そんな大勢のファンからの声援も後押しとなり、日本代表は序盤、ウェールズの猛攻を耐え、フルバックの五郎丸歩が2度のPGを決めて前半を6対3とリード。後半早々、相手に1トライを許すものの、その後は相手にゴールラインを割らせず、逆にフォワードと田中の素早いボールさばきで連続攻撃を継続。その結果、2トライを奪った日本代表が23対8で歴史的勝利を成し遂げた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る