【ラグビー】ウェールズに歴史的勝利!ジャパンの何が変わったのか?

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

攻撃の軸となって活躍し、ウェールズ戦を勝利に導いた田中史朗攻撃の軸となって活躍し、ウェールズ戦を勝利に導いた田中史朗 歴史は再び塗り替えられた----。「エディー・ジャパン」ことラグビー日本代表が、昨秋、アウェーでの欧州勢(ルーマニア)初金星に続き、6月15日、2年連続ヨーロッパ王者の「レッドドラゴンズ」ことウェールズ代表を、対戦13戦目にして初めて打ち破った。その瞬間、秩父宮ラグビー場に押しかけた2万人を超える観客だけでなく、日本中のラグビーファンが勝利の美酒に酔いしれた。

 全英代表(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド)とも言える「ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ」がオーストラリア遠征中とあって、主力15人が抜けた今回のウェールズ代表は若手中心。それでも全員がプロ選手で、1989年に日本代表がスコットランドを破ったときとは違い、ウェールズ側もテストマッチ(国同士の真剣勝負)と認めた大一番だ。35歳のベテランLO(ロック)大野均は、「(激しい)練習をやってきた甲斐がありましたね」と、安堵の表情を見せた。

 ただ、ジャパンも絶好調というわけではなかった。昨年の春と秋、フランスのプロクラブチーム選抜との試合で4戦全敗を喫し、2015年のワールドカップに向けてフィジカル面での脆(もろ)さを露呈。アタッキングラグビーを掲げながら、「身体を大きくするには時間がかかる」(エディー・ジョーンズHC)と、選手には毎日のように朝5時半からのウェイトトレーニングを課した。

 また、4〜5月のアジア5ヵ国対抗で6連覇を達成するものの、格上のトンガ代表、そしてフィジー代表との戦いに向けた練習では選手たちの態度に満足できず、ジョーンズHCは「自分のコーチングの責任」と述べて途中で練習を打ち切ったことも......。そして、5月下旬に行なわれたトンガ戦(17対27)とフィジー戦(8対22)に連敗。フィジー戦後、ジョーンズHCが「スクラムもタックルもブレイクダウンも良くなかった」と落胆の表情を浮かべる一方、練習と遠征の重なった選手たちにも、疲れが溜まっていたように見受けられた。

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