【ウィルチェアーラグビー】躍進の4位入賞も「このままじゃ終われない」 (2ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 3位決定戦、めまぐるしくメンバーチェンジを行なうアメリカに対し、日本は「勝負ライン」であるファーストライン一本で戦った。フル出場した官野は、「アメリカには世界で同等に戦えるラインが2つも3つもある。相手の戦術やラインにあわせて交代できるように強化しなければ」と語った。

 メダルに絡む真の強豪になるために、何が不足しているのか。選手たちは帰国後、改めて今大会を振り返った。

 大会を通して、国際大会の経験不足を実感したというのは仲里だ。「(強豪国の)アメリカやオーストラリアのプレイは戦略的。完全に動きを読まれ、彼らの戦術にまんまと引っかかったように思う。欧米諸国のように、メインの国際大会以外にいろんな大会に出場して経験を積むしかない」と言い、そのためにも競技に集中できる環境を整えたいと切望する。

 メダルに絡む強豪国は心身ともに強い。初出場の池崎は、チームメイトがこぼしていた「パラリンピックは別物。各国が豹変する」という言葉の真の意味を思い知ったという。「強豪国と同様に、日本の選手もパラリンピックにかける思いは強い。でもそれに加えて、大会前に集中して体を作り、仕上げてくる他国の選手たちは別格だった。僕も仕事を辞めてトレーニングの時間を作っているけれど、このままじゃ太刀打ちできない」と危機感を口にした。

 今大会、日本代表のスピードと魂のこもったタックル、そして最後まであきらめずに戦い抜く姿に、英国の観客は拍手喝さいを送った。「だから、この舞台はやめられないし、このままじゃ終われない」と仲里は言う。

 まだ見ぬ新たなステージへ。メダルを目指す日本代表の物語は、4年後へと続いていく。

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