【ラグビー】震災から1年半。復興のシンボル、釜石SWの新シーズン (3ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu  志賀由佳●撮影 photo by Shiga Yuka

「やっとがれきが撤去され、さら地になっている状況です。がれきがあった時をマイナスとすれば、やっとゼロ、復興のスタート地点に立ったぐらいです。これから、です」

 心配されていたチームの運営費は確保されている。サポート会員(年2千円~)が、全国に広がり、震災前のほぼ倍の3千5百人に膨れ上がった。今年のチームスローガンが『1TEAM』。TEAMは「タフ」「エンジョイ」「アグレッシブ」「前へ」のアルファベットの頭文字という。

 高橋が続ける。

「なぜか、“前へ”だけが日本語ですが。ははは。ひとつのチームになりましょう、という意味です。選手やスタッフだけでなく、サポーターや地域、被災地、東北、みんながひとつになろうと」

 チームには8月、フィリピン国籍の兄弟も加わった。まさに多士済々。まるでラグビー界の梁山泊。トップリーグに上がる。2019年に日本で開催されるワールドカップ(W杯)の試合を招致する。復興の光となる。そんな志を持った男たちが釜石SWに集ってくる。

 再び、“タケさん”。

「小さい戦いにこだわって、最後に大きな勝利を勝ち取りたい。目の前のことにベストを尽くす。全力を出す。それだけですわ!」

 社会人19年目。百戦錬磨の41歳の言葉は含蓄がある。復興のシンボル、釜石SWがゆるりと走り出した。

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