【ラグビー】セブンズ元日本代表監督・村田亙
「15人制では勝てない相手でも、7人制なら可能性がある」

  • 斉藤健仁●文・写真 text&photo by Saito Kenji

――「ワールドシリーズ」に高校生ながら5大会出場した藤田選手は成長しました。

村田 9月のマレーシアで開かれたアジアシリーズの大会に参加したときはまだまだ高校生、といった感じでした。1ヶ月後、ワールドシリーズの大会に招集したら大ブレイク。その後、どんどん成長し、4月からは15人制の代表にも招集されました。手足も長いし人柄も良く、30年に1人くらいの逸材です。東京大会では最後にイエローカードをもらいましたが、今後に向けて良い経験になったと思います。

――11月には来年のセブンズW杯予選、2016年にはオリンピックも控えます。次期監督である瀬川智広氏(前東芝監督)へアドバイスをお願いします。 

村田 選手を招集するために電話や訪問はもちろん、フィットネスの数値を各チームに測りに行ったりと、指導以外のマネジメントの部分もやってきました。だから、とにかく協会にお願いして、現場は指導に専念できる環境を作ってもらうことが必要。そして世界一のフィットネス、そしてリアクションといったスピードを身につけて、コンタクトスキルも磨いてボールをたくさんつないでトライを取る。そういったラグビーを目指してほしいです。

――4月2日から、関東大学リーグ戦2部に所属する専修大学の監督に就任しました。

村田 昨年からアドバイザー、今年4月2日から正式に監督となりました。2年で1部へ昇格、5年でリーグ戦上位に進出、7年で大学選手権優勝争いという「7年計画」でやります。意識を改革し、規律を守るチームを作りたい。そして7人制で培った指導法も取り入れて、見ていておもしろい展開ラグビーがしたいですね。ただ、昨シーズン、専修大サッカー部が大学選手権で初出場初優勝し、ハードルが上がっているので大変です(笑)。

――今後の指導者としての目標は。

村田 弱いところに行って強くするのが僕の使命みたいなものだと思っています。ただ今までの感覚だと、僕のカラータイマーは15分なので(笑)、80分で行なう15人制はこれから勉強していきたい。そしていつか15人制の日本代表監督もやってみたいですし、2020年の東京オリンピックが開催されれば、その時また監督に任命されるくらい両方で結果を残していきたいですね。ただ、今は新たなステージしか見えていない。まずは目の前の指導に集中したいと思います。

【プロフィール】
村田亙(むらた わたる)
1968年1月25日、福岡県生まれ。小1から草ヶ江ヤングラガーでラグビーを始め、東福岡高で全国高校ラグビー大会に出場。専修大では主将として関東大学リーグ戦で優勝に導く。大学卒業後、東芝府中(現・東芝ブレイブルーパス)に入り、1996年から日本選手権3連覇に貢献。99年、日本人として初めてフランス2部(当時)のバイヨンヌとプロ契約しレギュラーとして活躍。2001年にヤマハ発動機ジュビロへ加入、日本選手権ベスト4入りなどに尽力。日本代表として15人制W杯には3回出場、7人制では1996年香港大会で主将としてボウル優勝し、翌年の日本大会で世界選抜を破り3位。08年に現役引退、同年から7人制日本代表監督を務め、4月から専修大学ラグビー部の監督に就任。日本代表キャップ41。現役時代のポジションはスクラムハーフ(SH)。

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