【ラグビー】悔しさを胸に。
日本選手権で帝京大が見せた「大学王者の悲哀と希望」。

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 小倉和徳●撮影 photo by Ogura Kazunori

 あえて収穫を探せば、次につながる『悔しさ』だけであろう。

 もっとも日本のホープたち、いわゆるゴールデンエイジの4年生はそれなりに気を吐いた。プレイに光るものがあった。

 SH滑川はPKから速攻でトライを奪った。その判断とスピード。SO森田はわずかなスペースをついて突破した。故障あがりのCTB南橋直哉も半身をずらすランでトイメンを驚かせた。3人ともTLに進み、日本代表を目指す。

 滑川はトヨタ自動車へ。「まずトップリーグで通用する体をつくって試合に出たい。ジャパン入りは自分の中では絶対です。15年(W杯)、19年(W杯)を視野に入れてラグビー人生を歩みたい」

 南橋は神戸製鋼へ。「タックル、スキルを磨いてワールドカップに出たい。誰にも負けないつもりでやっていきます」

 森田はこの日の相手の東芝へ。人格者なのだ、試合後のファンクションではあいさつ周りに忙しかった。右目が痛々しい。

「まず東芝で成長して試合に出ることから始まる。15年も19年も狙っていきます」

 三者三様。サイズはともかく、日本代表となるには体が弱い。でも目には覇気があふれる。希望が満ちる。この悔しさを胸に次のステージへ、さらなる飛躍を誓うのだった。

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