【ラグビー】悔しさを胸に。
日本選手権で帝京大が見せた「大学王者の悲哀と希望」。

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 小倉和徳●撮影 photo by Ogura Kazunori

 大学3連覇といえども、ハイレベルのTLでもまれた東芝との実力差は歴然としていた。ひと言で言えば、「体の強さ」が違う。とくに接点のコンタクト力である。

 しかも大学勢は日程的にもきつい。帝京大は2週間の期末試験休みを挟まざるをえなかった。十分な準備をすることができない。この時期まで引っ張るのは、体力的にもメンタル的にも無理がある。

 それでも帝京大は前半、よく戦った。体を張った。前に出てタックルした。セットプレイとブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でもファイトした。とくにボンドとマニングの両ロックが密集で活躍した。

 でも、よくよく見れば、プレイの精度と迫力が違った。タックルした後、タックルされた後の動きが違う。東芝FWの寄りと足のかきが激しいから、どうしても接点で重圧を少しずつ受けてしまう。

 帝京大は前半、トライ数で東芝の4本に対し、2本と食い下がった。でもダメージは大きかった。ボディーブローのように疲労が足腰にきていた。

 岩出雅之監督が言う。

「ハーフタイムの様子を見ると、学生たちはかなりの息使いの荒さだった。これまで見てきた疲労度とはちがった。後半は足が止まってしまった」

 結局、後半は東芝に10トライを加えられた。19-86の完敗である。帝京大は1回戦の六甲クラブ(クラブ選手権覇者)に71点差で勝ち、この日は勝敗が逆のスコアになった。監督はため息をついた。

「1回戦もミスマッチ、準々決勝もミスマッチなんですよ。学生の質とかレベルとか......。モチベーションを含めて、五分五分の相手とマッチングするのが大事なんです」

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