【ラグビー】トップリーグの大物助っ人たちが日本ラグビー界にもたらしたもの (2ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 そしてトップリーグのプレイオフファイナルでMVPを獲得したサントリーのスミスは、自身の技を同じポジションのチームメイトに教え続けた。特にジャッカルという、相手のボールを奪い取る守備スキルを伝えた。その様子をエディ・ジョーンズ監督はこう褒め称えた。

「練習の後でもいろいろと教えていた。(他の選手たちの)すばらしい先生でもある」

 そこで成長したひとりが、フランカーの佐々木隆道だ。「タックルしたら起き上がる」といった姿勢の部分でも影響を受け、その言葉をグラウンドで実証し続けた。ジョーンズ新ヘッドコーチのもと、約3年ぶりとなる日本代表復帰が確実視されるまでになった。

 同じサントリーのプロップ・畠山健介も、大切なことを再確認させられたひとりだ。

「試合中、トライをされそうなシーンでは外国人選手が(その地点に)戻る。最後まで諦めない姿勢は日本でも(重要だと)言われているけど、それを率先してやっているのが外国人選手なんですよね。要所、要所でタフなプレイをするところが試合、練習で見受けられる。(自身とは)ポジションが違うので一概には言えませんけど、勉強になります」

「私生活が競技に表れる」「常に準備を怠らず結果を出すのがプロ」。そうした意識を日本の選手たちは植えつけられた。

 しかし、来季からトップリーグに設けられた外国人枠が、従来の「3」から「2」に縮小されることになった。ある協会関係者は、「外国人がリーグ全体のレベルを上げるという段階は終わった。ここからは日本人中心の日本代表を目指す」と説明する。

 この通達への反応はさまざまだった。ただ、ワールドクラスとされる選手がいないクラブにとっては、対外試合が世界最先端に触れる唯一の機会でもあった。あるチームのスタッフは、「日本代表の強化を考えても、枠は3のままがベストだと思う」と語る。

 今後、新たなルールがどんな影響を及ぼすかは未知数である。ただ、これまで出番の少なかった若手をはじめ、日本人選手の台頭を促すきっかけにはなる。いずれにせよ、世界クラスの選手たちから学んだものをどのように生かしていくのかが今後の課題になるだろう。日本ラグビーがより世界に近づくために、選手たちのよりいっそうの成長を期待したい。

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