【ラグビー】目指すは「バルセロナ」。
サントリー指揮官エディ・ジョーンズのスタイル

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke


 体力とスキルと判断力。さらに言えば、「コミュニケーション」である。声である。主将のナンバー8竹本準太郎がふりかえる。

「疲れていても、声があるからサポートがどこにいるのかがわかる。パスが通り、アタックが重なっていく。アタッキングラグビー、それってぼくらのプライドなんです」

 何人の選手が絡んだのか。つくったポイントが7つ。FWとバックス一体となったスピーディーな連続攻撃から、最後はプロップ池谷陽輔―WTBピーター・ヒューワットとつないで、8本目のトライを奪ったのだった。

 結局、56-8。プレイオフ最多得点を記録した。失ったトライがひとつ。アタックばかりに目がいくが、どうして、どうして、ディフェンスも最後まで個々のタックルも組織のカタチも崩れなかった。

 52歳のエディの目指すラグビースタイルは一貫している。豪州代表でも南アフリカ代表でも英国のクラブチームでも、サントリーでも、揺るがないのだ。

 見て面白いラグビー。ボールが動くラグビー。エディは「サッカーのバルセロナ」のスタイルを好む。才能あふれる選手たちが細かいパスでボールをつなぎ、全員で連動するように攻めていくのだ。

 エディは元高校教師。情熱家であり、努力家でもある。早朝6時からのサントリーの自主練習にも必ず、車で駆けつける。明確な目標を提示し、全員に気を配り、コミュニケーションを大事にする。そうやってディシプリン(規律)のあるチームを作り上げた。

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