Tリーグ改革のキーマンが明かした今後のビジョン。世界トップクラスの選手が集まっていても「活用できていない」 (2ページ目)

  • 佐藤主祥●取材 interview by Sato Kazuyoshi text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao、T.LEAGUE/アフロスポーツ

――TリーグはYouTube、インスタ、フェイスブック、ツイッター、LINEなどさまざまなデジタル施策を行なっていますが、今後はどのような展開を考えていますか。

 正直なところ、SNSを展開はしていますが、KPIを設けたりして、計画的にやっていたわけではありませんでした。これまではTリーグ再建を重視していて、それどころではなかったという実情もあります。
 
 ただ今シーズンから、さまざまな動きをしていこうと考えています。現在は、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、いわゆるSTP分析をしているところで、インスタグラムを楽しむ女性、日曜日の夜にスポーツ番組を見るサラリーマン層など、4カテゴリーぐらいをターゲットにしていこうと考えています。主にはツイッター、インスタグラム、Tik Tokに力をいれようという話をしています。

 現在はリーグ側とチーム側で同じ目標を立て、毎週のようにミーティングを行なっています。KPIをしっかり作ってPDCAを回しながら今まさにガツガツやっているところです。

Tマーケティングの日下部大次郎代表取締役社長Tマーケティングの日下部大次郎代表取締役社長この記事に関連する写真を見る――それによってファンが増え、今後のチケット販売にもつながっていきそうですね。それから今シーズンの大きなトピックスが、伊藤美誠選手のTリーグ初参戦ですが、これをどう見ていますか。

 伊藤選手がTリーグ参戦を決めたのは、Tリーグがパリ五輪の代表選考の対象になったことが大きな理由だと聞いています。これは日本卓球協会の英断が起因していると思っています。東京五輪が2021年8月に開催されて、翌9月にはもう代表選考の基準を発表しているわけです。このスピード感は本当に素晴らしいなと思いました。

 伊藤選手も、平野美宇選手も、石川佳純選手もそんなに簡単に勝てないくらい、今、国内の若手が成長してきて、全体が底上げされています。そして海外の事情になりますが、ITTF(国際卓球連盟)が2021年から新たにスタートさせた国際大会「WTT」には、指名された選手しか出場できないことになっています。指名されない選手は世界ランキングが上がらないんです。これではパリ五輪の代表を選考するにあたって、公平性が担保できません。

 この国内と海外の事情が、代表選考の基準を決める要因になったと理解しています。伊藤選手のTリーグ参戦によって、国内の選手たちの底上げとレベルアップになりますから、パリ五輪の代表選考基準のことも含め、私は大成功だと思っています。

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