新たな日本女子卓球の「顔」へ。「みうみま」を破った「Wみゆう」が五輪選考会で見せた進化

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi

強化した「フォアスマッシュ」で進化を見せた木原

"相棒"の木原も進化を遂げていた。

 彼女は全日本選手権前に、課題とされていたフォアハンドを徹底強化。それによって同選手権ではジュニア女子シングルスで初優勝し、一般の部でもベスト4入りを果たした。今大会の平野との準々決勝でも、その進化したフォアハンドが炸裂する。

 試合は序盤、テンポの速い"高速卓球"が得意な平野相手にも臆せず、木原は真っ向勝負で挑んでいく。もともと得意とする、早い打点で放つ表ソフトラバーによるバックハンドと、コンパクトに振り抜くスマッシュをフォアハンドで多用。スイングから余分な動きが減り、スムーズな両ハンドでの攻撃が可能になった。それによって平野を上回るほどのパワーとスピードでラリーを展開し、一気に2ゲームを連取した。

 その後はミスにつけ込まれて2−2のタイに持ち込まれたが、第5、6ゲームは打ち合いを制して4−2で勝利。パリ五輪選考レースのポイントよりも「世界選手権のほうが嬉しい」と喜びつつ、試合については「自分を信じて、自分から先手を取ることを意識した」と振り返った。

 世界選手権の切符を逃した平野は、「ラリーでちょっと弱気になってしまった。もっと考えをまとめて強気で行けたらよかった」と反省を口にしつつ、「いつもより内容的に良いところもあった」とここ数試合で調子は上向きの様子。次の大会に期待がかかる。

 木原は準決勝で早田に敗れたものの、3位決定戦で佐藤瞳を4−1で下し、3位入賞。カットマン対策としても強化していたフォアスマッシュが冴え渡り、試合時間1時間以上に及んだ全日本選手権の準々決勝よりも「最後まで自分のプレーができた」と手応えを感じたようだ。

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