張本智和に続く「男子卓球界の怪物」、14歳の松島輝空。ラリー戦での粘り強さを武器に世界ユース3冠など実績は十分 (3ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by T.LEAGUE/AFLO SPORT

【シニア選手に引けを取らない武器】

 松島は2007年、京都生まれ。地元にある田阪卓球会館でコーチを務めている、元実業団選手の両親のもとで幼少期からみっちり鍛えられてきた次世代のホープだ。

 これまで全日本選手権バンビの部やカブの部といった小学生以下の大会で優勝を重ね、小学6年生で出場した全日本選手権ジュニアの部で準優勝。その快進撃から"スーパー中学生"や"張本2世"と呼ばれ、2020年11月からはTリーグの木下マイスター東京にも所属している。そんな長男の背中を追い、弟の翔空(とあ)、妹の美空(みく)と愛空(あいら)も、卓球選手として着実に階段を上っている最中だ。

 松島の最大の武器は、ラリー戦での粘り強さとミスの少なさにある。

 幼少期から得意とするバックハンドを軸に、両ハンドで的確に、何度でも攻撃を跳ね返していく。その安定感と対応力の高さは、彼がまだ中学生だと思うと驚異的だ。どんなに強打を打ち込まれても、松島が返すボールは「それ以上の伸びを感じる」と驚く選手も多い。

 体格はまだ155cmと小柄で、対戦相手によってはリーチやパワーで劣ることもあるが、それを補えるほどのコース取りや多彩なサーブを持ち合わせている。だからこそ14歳にして高校生や社会人、代表クラスの選手にも決して引けを取ることはない。

 実際に、昨年2月18日に行なわれたTリーグの木下vs岡山リベッツの試合で、当時13歳の松島は田添健汰とのペアでダブルスに出場。全日本選手権のダブルスで優勝経験もある森薗政崇・三部航平ペアを2−0で下してTリーグ最年少初勝利を飾った。試合後には「大人の選手がサーブがうまいのはもちろんですが、自分はストップレシーブが苦手なので、チキータ中心でいきました」と対応力の高さを示した。

 さらには昨年9月23日の琉球アスティーダ戦では、2019年全日学選抜で王者に輝いた松山祐季を相手に3−0とストレートでシングルス初勝利。自ら「ミスが少なくて、今日は100点」と話すほど、大舞台で実力を発揮できるほどの自信を身につけてきている。

 そして世界ユースで世界一の栄冠をつかみ、パリ五輪の代表争いに名乗りを上げた松島。今後もTリーグや国際大会で実績を積み上げていけば、2024年までに爆発的に成長する可能性も大いにある。

 張本に続く"怪物"は、松島しかいない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る