鷲見玲奈が水谷隼に聞く東京五輪。丹羽孝希との異色ダブルスは「まったく違う競技を見ている感覚になる」

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

鷲見 丹羽選手とのダブルスは、どちらも利き手が左です。そこに関して不安はありませんでしたか?

水谷 確かに左・左のペアはここ15年間、世界を見渡してもほとんどいませんよね。動きが難しいので、僕か丹羽のどちらかが張本と組んだほうがいいんじゃないかという話もありました。ただ、やはり張本は「エース使い(シングルスに2試合出る選手)」したいので、自然と今の形になりましたね。丹羽とはかなり練習を積んでいますし、やる度に新しい発見があって、自分たちの弱点もわかってきているので、難しさがある中でも一歩ずつ成長している実感はあります。

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鷲見 難しい部分というのは、やはり動き方の部分でしょうか?

水谷 そうですね。サーブを出したあとも、レシーブしたあとも、すべてが難しいです。

鷲見 それでも、リスクだけでなく、強みもあるのでは?

水谷 確実にあります。左・左で組むメリットとしては、どちらもシングルスの時と同じようなサービスが出せて、レシーブでもチキータで攻めることが可能になること。そういう点では非常に優位に立てると思っています。それに相手からしたら、左・左ペアと対戦するのなんて絶対に初めてだと思うんですよ。僕も経験がないですし。

鷲見 確かに、左・左ペアとの対戦経験がない相手に対して、常にアドバンテージを握った状態で試合を展開できますよね。

水谷 気持ちの面でも、間違いなくアドバンテージがあります。ただ、こちらがまともにやったら100%勝てません。普通にプレーして勝てるなら、もっと左・左ペアがいるはずなので。だから僕たちの作戦としては、普通のダブルスの試合をするのではなく、トリッキーなプレーを多用して相手を混乱させていく形になります。なので、まったく違う競技を見ている感覚になると思いますよ。

鷲見 それはすごく楽しみです!

(後編に続く)

Profile
水谷隼(みずたに・じゅん)
1989年6月9日生まれ、静岡県出身。
両親の影響で5歳から卓球を始め、中学3年からドイツ・ブンデスリーガに卓球留学。
2006年に17歳7カ月で全日本選手権シングルスを優勝し、
2018年には10回目の優勝を果たす。
オリンピックには、2008年の北京五輪から3大会連続で出場。
2016年リオ五輪ではシングルスで日本人初のメダル(銅メダル)を獲得した。
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鷲見玲奈(すみ・れいな)
1990年5月12日生まれ、岐阜県出身。
趣味:サッカー、動物と触れ合うこと、愛鳥を愛でる
特技:詩吟
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